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タイの化学品規制について解説します

これまでは主に日本国内や海上輸送上の危険品、化学品の取り扱いについて説明してきましたが、今回は海を越えてタイの化学品規制についてお伝えしていきたいと思います。

早速、タイで化学品を取り扱う際にはどんなルールがあるのか、みていきましょう。

有害物質法(Hazardous Substance Control Act B.E.2535)

有害物質法は、タイにおいて最も重要な化学物質管理法です。化学物質が人及び環境に与える影響を抑えることを目的とし、タイで使用される化学物質・有害物質の輸入、生産、販売、所有を規制しています。(1992年より施行)

化学物質は第一種(Type1)から第四種(Type4)に分類され、それぞれ申告、登録、GHS等に関わる義務が課せられています。

<用語解説> GHSとは(下記参照)

「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:GHS)は2003年7月に国連勧告として採択されたものです。

GHSは化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類し、絵表示等を用いて分かりやすく表示し、その結果をラベルやSDS(Safety Data Sheet:安全データシート)に反映させ、災害防止及び人の健康や環境の保護に役立てようとするものです。

職場のあんぜんサイト(厚生労働省)より

有害物質にはどんなものがあるの?

有害物質法に定める有害物質は以下のものになります。 1.爆発物 2.引火性物質 3.酸化剤及び過酸化物質 4.毒性物質 5.伝染性物質 6.放射性物質 7.変異原性物質 8.腐食性物質 9.刺激性物質 10.その他の人、動物、植物及び環境に危険をもたらす物質または化学品

これらは有害物質リスト(Hazardous substances List)で管理され、このリストには約1,500種類の有害物質が収載されています。そして、有害物質リストは6つの関連機関に分類され、それぞれの官庁で管理されています。下記画像は、DIW(タイ工業省工場局)で管理している有害物質リストの一例です。

有害物質の分類と規制について

有害物質は危険度によって4つに分類され、その分類に応じてどのような規制措置が必要か決まります。それぞれの規制措置はざっくりと以下の通りです。

第一種(Type1)

製造業者および輸入業者は、当局に製品の情報を届出なければならない。また、事業者は、製品の製造および保管について指定されている基準および手続を遵守しなければならない。

第二種(Type2)

当局に登録し、届出し、指定された基準および手続を遵守しなければならない。製造、輸入、輸出及び保管はB.E. 2538 (1995)に基づき届出すること。製造、輸出入量及び保管量はDIW(タイ工業省工場局)の規定に従って届出すること。

第三種(Type3)

当局に登録し、ライセンスを取得し、届出なければならない。対象となる有害物質の生産、輸入および保管のためのライセンスの申請書を提出すること。製造、輸出入量及び保管量はDIW(タイ工業省工場局)の規定に従って届出すること。

第四種(Type4)

製造、輸出入および保管は禁止。

申請対象の化学物質を輸入する際の手続き

輸入する化学物質が申請対象であれば、本船入港予定日前にDIW(タイ工業省工場局)から承認を受けなければなりません。申請に必要な書類は以下の通りです。

●申請書 ●SDS ●有害物質の詳細説明書 ●容器またはタンクの特徴を説明する資料または写真 ●容器の安全措置を説明する資料または写真 ●分析用サンプルまたはDIW(タイ工業省工場局)が承認した分析機関による分析結果

2種以上の有害物質の混合物の場合は、混合物に関する書類も必要です。

承認取得までどのくらいの時間がかかるの?

DIW(タイ工業省工場局)へ必要書類を提出してから承認取得までの必要日数も気になりますよね。 Typeによって異なっていて、大体の目安は以下の通りです。

Type1:申請書類が受理されてから7-10営業日 Type2:申請書類が受理されてから60営業日 Type3:申請書類が受理されてから60営業日

申請書類は原本を提出しなければなりません。書類不備や不足があれば再提出になりますので、慎重に準備を行いましょう。

注意するポイントとトラブル事例

承認取得は本船入港予定日前に!

承認がおりたら承認番号が発番されます。輸入申告時にこの承認番号が必要になりますので、本船入港までに取得できるよう、余裕をもって手続きを進めることが大切です。

申請に必要なSDS記載条件

1.英文表記であること 2.記載されている成分の合計が100%であること 3.それぞれの成分に対するCAS NOが記載されていること

輸出者から100%成分&CAS NO開示された英文SDSを入手しましょう。

過去のトラブル事例

輸入してみたら申請・登録が必要なアイテムだった!というご相談もいただきます。承認がおりるまで輸入できず、港での貨物保管費用が嵩んでいきますので、輸入前にしっかりチェックしておきましょう。

おわりに

ここまでタイでの化学品規制についての概略をお伝えしてきましたが、いかがでしたか? 輸入国の規制について十分に調査し、事前準備をすることは、スムーズな手配に繋がります。輸入するアイテムが申請対象か分からない、どうやって調べたらいいの?申請書類はこれでいいの?SDSの成分開示できないときはどうしたらいいの?その他、タイでの輸出入に関する質問などあれば、当社のタイ営業拠点、MKC (Thailand) Co., Ltd.のスタッフがサポートいたします。お気軽にご相談ください